東海愛知新聞バックナンバー
 3月19日【水】
生理研・瀬藤元准教授グループ
体内の未知物質探る新技術開発
がん細胞の特定などに期待

自然科学研究機構(岡崎市明大寺町)生理学研究所の瀬藤光利・元准教授(38)=現・浜松医科大学分子解剖学教授=は18日、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さん(島津製作所)の技術を用いた質量分析装置を改良して、体内の未知の物質を探る新技術「質量イメージング法」を開発した、と発表した。この技術は同社が開発を進めている質量顕微鏡に導入されるという。
 瀬藤元准教授らの研究グループは、レーザーを照射して分子を壊さずに体内の物質を特定する田中さんの技術「質量分析」の結果を、100マイクロメートル(1ミリの10分の1)の解像度で画像化することに成功した。  この技術を使って、薄く切り出したラットの脳から、これまで解明方法がなかった脳内のリン脂質(大きさは2ナノメートル=10億分の2メートル)の分布が初めて明らかになった。
 この技術を利用することで、特定した体内の病原物質に応じた新薬の開発や、現在多くが頼っている病理診断以上に、細胞が「がん細胞」かどうかの正確な特定などに役立つことが期待できるという。
 質量顕微鏡の開発に携わる瀬藤元准教授は「質量顕微鏡では、さらに精度を増した10マイクロメートルの解像度を目指す」と話している。





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