東海愛知新聞バックナンバー
 12月8日【土】

国の有形文化財に登録
岡信資料館 岡崎市内で3件目
築90年 高い希少価値

 岡崎市伝馬通一に大正6(1917)年、旧岡崎銀行本店として建造され、現在は資料館になっている築90年の岡崎信用金庫資料館が、国の有形文化財に登録された。市内では八帖町の八丁味噌(みそ)「カクキュー」の本社事務所と蔵、上青野町の本光寺の本堂と山門に続く3件目の登録となる。

 建物は旧東海道沿いに建てられ、昭和20(1945)年7月の空襲により外壁を残して焼失。修復が終わった25年から26年間は岡崎商工会議所の会館として地元経済の拠点となった。

 新会館建設に伴う会議所の移転後、取り壊す予定だった建物と土地を同信金が買い取り、修復補強工事を経て57年11月に資料館として開館。1階は展示会を中心とするギャラリー、2階は日本や世界各国の紙幣や貨幣を常設展示し、小中学生がお金について学べる「お金の展示室」となっている。

 建物は鉄筋コンクリート2階建て(一部3階)のスレート葺(ぶ)きで、建築面積は302平方メートル。外観は白い御影石と赤レンガで覆われ、ルネサンス様式に中世のゴシック様式が加えられている。正面玄関の幾何学的なデザインと、上部がやや細くなっている2本の柱、2階外壁のアーチ形装飾などが特徴。

 文部科学省は「近代建築を数多く手がけた建築家の鈴木禎次が設計した建物だが、銀行の建築では旧名古屋銀行本店(現・三菱東京UFJ貨幣資料館)が残る程度で、希少価値は極めて高い」としている。

 ▼登録文化財 対象は50年以上が経過した特色ある建物。開発などにより取り壊されてしまう恐れのある建物を後世に残すための制度。国宝や重要文化財とは違い、外観を大きく変えなければ改装や活用も認められる。


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