東海愛知新聞バックナンバー

 5月21日【土】

長野の三セクのホテル買収

フジケン子会社 三河湾リゾートリンクス

住宅デベロッパー「フジケン」(岡崎市戸崎町)の100%出資子会社「三河湾リゾートリンクス」が、公募型プロポーザル方式の入札により、長期的な不況やリーマン・ショックの影響などで平成19年度から経営赤字が常態化している長野県駒ヶ根市の観光ホテル「駒ヶ根ビューホテル四季」を買収する見通しになった。同社は秋まで現状の営業を維持し、年末の改築工事を経て来春のリニューアルオープンを目指す。(今井亮)

平成11年にオープンしたビューホテル四季は、和洋風の客室26室がある鉄筋コンクリート4階建ての本館と、前年に建設されて後に統合された平屋の和風旅館(客室11室)から成る。経営は駒ヶ根市や地元企業が出資して昭和34(1959)年に設立された第三セクターの「駒ヶ根観光開発」が行っている。三河湾リゾートリンクスへの売却に伴い、駒ヶ根観光開発は来年3月末までに解散する。

三河湾リゾートリンクスは、ビューホテル四季から約300メートル西で「駒ヶ根高原リゾートリンクス」を経営。豊富な温泉、敷地内の景観、客室から中央・南アルプスが望める立地など、「ハードとしての魅力が備わっている」としてビューホテル四季の事業譲渡に名乗りを挙げた。駒ヶ根市から固定資産税など税制面での優遇もあるという。

ビューホテル四季の建物・設備と市有地を含む土地1万2000平方メートルの買収価格は、最低売却価格の7,800万円に対して8,864万円。勤務する駒ヶ根観光開発の従業員17人の雇用対策などが事業譲渡の条件に盛り込まれており、従業員に雇用継続の意思を聞く。

駒ヶ根高原リゾートリンクスの嶋村幸雄総支配人(53)は「本館をファミリー層向け、和風旅館を高級志向に改築して、2つのブランド化を図りたい」とし、「健全経営に立て直して、駒ヶ根の観光活性化に力を注ぎたい」と話している。