東海愛知新聞バックナンバー

 1月29日【木】

純米大吟醸「萬歳」

岡崎・丸石醸造が県と共同開発
「悠紀斎田」のコメを復刻

岡崎市中町の老舗蔵元「丸石醸造」(深田達彦社長)と愛知県の「あいち産業科学技術総合センター」が共同開発した純米大吟醸「萬歳(ばんざい)」がこのほど完成した。100年前の大正天皇即位の際、六ツ美地域の水田が悠紀斎田に選ばれ、栽培したコメを大嘗祭で献納した。近年このコメを復刻し、地酒にして2月7日から販売することになった。(竹内雅紀)

復刻された稲品種「萬歳」は大正4(1915)年の大嘗祭以降、栽培が途絶えていたが、長久手市の県農業総合試験場に種もみが保管されていることを六ツ美地域の農家が知り、平成20年に種もみを10グラム譲り受けて試験栽培を始めた。六ツ美悠紀斎田保存会が5年後に再度種もみを入手。本格的な復刻に取り組み、26年には玄米2400キログラムを収穫した。

大嘗祭ではコメが献納されたほか、コメを使って酒にした記録が残っていることから、六ツ美地域のまちおこしや活性化を目指す有志の会「悠紀の里じゃんだら会」は25年に、萬歳を使用した清酒製造を同社に依頼した。

同センターが酒米分析をしたところ、食用米の萬歳は粒が大きく、酒造りに適した品種と判断。吸水時間を長めにしたり、発酵が緩やかな酵母を選択したり、保管温度を低温にするなどの工夫をした。

純米大吟醸「萬歳」は精米歩合48%。フルーティーな香りで甘口。100年前は辛口だったとされるが、現代の嗜好に合わせた。精米歩合60%で辛口の純米酒「萬歳」も醸造した。深田社長は「岡崎のコメ、水、蔵元で作った地産地消の代表作になれば」と期待を寄せている。

純米大吟醸は720ミリリットルで1,900円。悠紀斎田100周年記念限定化粧箱入りが2,200円、桐箱入りで4,000円。純米酒は720ミリリットルで1,460円、1.8リットルで2,840円。数量限定。

同社で7、8日に開かれる新春蔵開きをはじめ、15日の地域交流センター六ツ美分館「悠紀の里」開館イベント、6月7日の大嘗祭100周年イベント、市内酒販店などで販売。インターネット販売は2月9日からの予定。