東海愛知新聞バックナンバー

 12月17日【水】
衆院選振り返る

国政へ5人は不変

12区 維新が県内で唯一の議席

第47回衆議院議員総選挙は自民党が大勝し、公明党との連立政権を維持することになった。この地域(愛知11、12区)では比例復活や比例単独も含めて5人が当選を果たし、2年前と同じ顔ぶれに。選挙結果を基に師走決戦を振り返る。(衆院選取材班)

愛知12区(岡崎・西尾市、幸田町)は民主党が維新の党との候補者調整をし、県内で唯一立候補を見送った選挙区として注目された。維新・重徳和彦氏(43)は自民・青山周平氏(37)に1万3000票の差をつけて破り、結果的には野党一本化が功を奏した。前回青山氏は2市1町すべてで最多得票だったが、今回はすべて重徳氏。大票田の岡崎市で1万1000票差をつけ、西尾市では500票差。重徳氏は前回の6万9000票からほぼ倍増、一方で青山氏の伸びは3万弱だった。

重徳氏の勝因は最後まで不安視されていた民主支持層の票の取り込みと無党派層への浸透。民主の支持母体連合は明確な指示は出さなかったが「選挙をよく知っている人なら維新に入れただろう」と関係者。維新の橋下徹代表が岡崎市内で民主、労組批判をしても大勢に影響はなかった。「自民や共産には入れたくない、残るは維新。重徳氏の日ごろの小まめな活動も決め手になったのでは」と言い、約7割が維新へ投票したとみられる。

重徳氏は終盤に「一本化」と書いたのぼりを掲げて選挙運動を展開。民主陣営に推薦を断られたが、最後まで無党派層も含めて支持を呼び掛けた。当初は自民優勢が伝えられ、西尾市内の集会や街頭演説でも人はまばら。陣営は「同情票でもいいから欲しい」と弱気な面もあったが、生活者目線と目に見える地道な活動が実を結んだ。強固な支援組織がないだけに「市民が組織に勝った」との発言は今回を象徴する言葉だった。

一方で青山氏は比例復活(惜敗率 89.7%)にも喜びは半減。今後は街頭活動をさらに増やし、次回に12区の議席奪還を誓う。また陣営組織の立て直しを指摘する声もある。

比例東海ブロック単独立候補(名簿1位)に回り、当選した民主・中根康浩氏(52)も合わせて同区に拠点を置く国会議員は3人のまま。地元の声は届きやすいが「式典で3人ともあいさつだと長い」と苦笑いする自治体職員もいる。