東海愛知新聞バックナンバー

 5月25日【土】
街は歴史の“記憶装置”
美術家・ふるかはひでたかさん

「岡崎二十七曲り」を本に

刈谷市生まれで在住の美術作家・ふるかはひでたかさん(45)がこのほど、岡崎市内での取材記録を書籍化した『CULTIVATE岡崎散歩 二十七曲りへの旅』を、岡崎市康生通東2の正文館書店から出版した。(大山智也)

■正文館書店、初の共同制作

ふるかはさんは昨年秋、岡崎市内で行われたアートイベント「岡崎ART&JAZZ2012」で、旧東海道の二十七曲りを題材にした作品を出品。旧城下町や宿場町の風景画、商店で手に入れた土産物、散策中に思ったことや感じたことの取材記録と、多様な展示物を組み合わせて1つの作品とした。

この作品を見た同書店の春井宏之社長(52)の「ふるかはさんの物の見方や考え方を、ぜひ多くの人に知ってもらいたい」という強い要望を受け、同書店初の商業出版物として共同制作。展示した取材記録に細かな修正を加え、本に仕上げた。

本はA5判で136ページ、1,260円。表紙と裏表紙は過去と現在の岡崎城周辺の地図を重ね合わせたもので、岡崎の中心街がどのように変化していったのかが見て取れる。巻頭には風景画などの平面作品を掲載した。

各章では、子どものころ岡ビル百貨店でカブトムシを買ったり、観光用に再建された岡崎城大手門を見て、本来の大手門の姿に思いをはせたりと、市内を回るうちにふと思い出したことや考えたことなどを書いている。

「資料の内容を重ね合わせてから、実際にその場所に赴いて自分なりの“痕跡”を見つけるのが面白い。この本が、街に足を運ぶきっかけになれば」

ふるかはさんは、県内の各会場で8月10日から行われる芸術の祭典「あいちトリエンナーレ2013」に参加する予定。