東海愛知新聞バックナンバー

 3月27日【日】

■そこで見たのは助け合う人たち

東日本大震災 福島の被災地に物資届ける

岡崎市明大寺町の不動産・建築業「リッキーカーペンターズ」社長・河内リカルドさん(46)はこのほど、東日本大震災で大きな被害のあった福島県いわき市で避難を続ける人たちに物資を届けた。そこで見たのは生活用品が不足する中、「私たちよりもっと困っている人たちがいる」と、お互いに助け合う被災者の姿。「行ってよかった」というリカルドさんに話を聞いた。(大津一夫)

■岡崎のリカルドさん

すさまじい被害状況に、居ても立ってもいられない。「早く物資を届けよう」。岡崎の友人2人とともに出発したのは22日午後8時ごろ。キャンピングカーに飲料水のペットボトル1200本とカップめん、おむつ、トイレットペーパーなどを積み込み、東名高速を走った。

首都圏を抜け23日未明、コンビニに寄るとボランティアの人たちと出会った。「いわき市までなら行ける」と聞き、避難所について情報を交換して車を走らせた。途中、道路が波打ち、車は大きく揺れた。常磐自動車道のインターチェンジ出口で料金を払おうとすると、車に掲げた「支援物資輸送中」の幕を見て、係員が無料で通過させてくれた。

いわき市内では小中学校や公民館など9カ所を回った。避難所に到着し物資を運び込もうとすると、中から人が出てきて手渡しで運んでくれた。

ある避難所では飲み水より歯ブラシや石けんが喜ばれ、不足している物と足りている物の偏りがあることが分かった。女子生徒たちには生理用品が喜ばれ、小さな女児からおむつが欲しいと言われたことも。

■感謝の気持ちが伝わり涙が出た

24日の未明に帰ったが、この間、3人で交代しながら運転。「ほとんど寝ていなかった」という。物資を届けたリカルドさんたちが通過するのを見て、男子高校生が車に向かって最敬礼をした。「『ありがとう』という感謝の気持ちが伝わってきて、涙が出た」

アルゼンチン出身で米国やカナダにも住んだことがあるというリカルドさんは、22歳のとき来日。東京で岡崎出身の女性と結婚し、市内在住は19年になる。

「被災地では日本人の前向きな姿勢に感動した。地震の被害はマイナスだけれど、皆で助け合おうという気持ちでつながっていた。疲れていても次の避難所まで道案内をしてくれた人やガソリンを分けてくれた人など、優しい心に触れることができた」


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