東海愛知新聞バックナンバー

 5月3日【日】

■けなげな幼虫“上陸応援会”

岡崎・鳥川町ホタルの里
児童、住民ら見守り
光を放ち 1匹また1匹

 岡崎市鳥川町の鳥川でこのほど、ゲンジボタルの幼虫の上陸観察会があった。鳥川小の児童や保護者、鳥川ホタル保存会の人たち約30人が雨の降る夜、傘を差して幼虫が神秘的な光を放つ光景を見守った。
 「幼虫は体側に発光器があり、弱いけれど光を放つんです。私は昨年の5月に初めて見て感動しました」と鳥川小の平木教男校長。
 「ざっと見て20匹か30匹が登っていました。二カ所で観察したので1時間ほどで100匹は上陸したと思います」「でも、上陸しても70から80%の幼虫は土の中の雑菌にやられて死んでしまうらしい」と保存会の今泉清会長。
 観察したのは先月25日の午後7時30分から約1時間。鳥川小の前を流れる川を約200メートル下った堤防。見守る人たちの前で、幼虫は一匹、また一匹と高さ約1メートルのコンクリート壁を、ゆっくり登っていった。幼虫が光ることを知らない人もおり、感嘆の声が上がったという。
 幼虫は雨が降り風のない夜に上陸する。この日は絶好の日和。今泉さんは「観察会と言うより、けなげな幼虫の上陸応援会でした」。幼虫は土の中で、粘液を出して土を固めた「土マユ」にくるまり、約40日でサナギになる。それから10日ほどして羽化するという。
 同小の児童は、地域の人たちと一緒にホタルが住める環境の保全とホタルの保護・観察、校内で幼虫を飼うなどの活動をしている。こうした活動で、20年度の環境省主催「こどもホタレンジャー・小学校の部」で環境大臣賞を受賞した。
 同小は6月13日、集会室で「ほたるまつり」を開く。児童にとっては最後となる活動発表会のほか、太鼓・オカリナ・ハーモニカ演奏会があり、しし汁で会食する。この夜、ホタルは光の乱舞を見せてくれるか―。



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