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東海愛知新聞

「巨石信仰」続編を準備

歩いて歴史掘り起こし
郷土史家中根さん   岡崎市

 過去・現在・未来の媒酌人――。岡崎市細川町の郷土史家、中根洋治さん(63)が、来年3月下旬を目標に『愛知発 巨石信仰』続編の出版準備を進めている。愛知県庁在職中から数えて8冊目。「郷土史家と呼ばれる以上は、文化や歴史を掘り下げ、あるいは忘れられた歴史を掘り起こして記録し、残しておきたい」というのが使命で、「それらは後世、きっと役に立つはず」と語る。
 『巨石信仰』は、数千年前の人たちが神の降臨場所として祈り崇あがめた巨石を紹介した本で、平成14年8月に出版した。
 「巨石は磐座(いわくら)と言い、愛知県の岩倉市や豊田市岩倉町などは、この難しい文字を変えたもので、県内に20数カ所あり、全国各地にも『岩倉』の地名として残っています」
■来年4月に学会
 国内の郷土史家や研究者でつくる磐座学会がある。中根さんは学会の理事を務め、来年4月に豊田市で開く「イワクラサミット豊田」(仮称)までに、続編を出版したいと言う。「磐座は忘れられた歴史の一部」で、歩いて聞き、目で確かめ、記録として残す―のが中根さんのスタイルだ。
 立命館大で土木工学を学び、県庁時代には「岡崎大橋」などの架橋に携わるなど、土木一筋できた。若いころから歴史に興味があり、『矢作川』(平成3年3月)に続き、『愛知の歴史街道』(9年2月)、『愛知発 巨石信仰』、そして郷土の歴史『細川郷』(16年1月)と、在職中にそれぞれ自費出版した。
 この間、雑誌への寄稿、小冊子の発行は多数。3年前に退職し、昨年3月に『愛知の巨木』を、今年6、7月には『忘れられた街道』(上、下)を名古屋の風媒社から出版した。
■災害時に役立つ
 巨木の取材の際、古老から聞いた山道のことが、巨石の構想につながった。山道を分け入ると常夜灯や道標があり、各地の集落が名も知れぬ古道で結ばれていたことが分かった。
 「古道は橋が少ない所を通り尾根に出る。尾根は雨が降ってもすぐ乾くから歩きやすいですよ。しかも見晴らしが良く、人間の敵となる動物から身を守ることができる。戦国時代は敵軍に襲われる危険が少なかったはずだ」。災害時の通行に役立つだろうというが、それは土木技師の目。
 歴史は口伝や記録で残されるが、放っておけば埋もれる。「70歳ぐらいの人が知っていないことを80、90歳の長老に聞いたら明らかになったことが度々あります」。だが、過去を知る長老たちに多くの時間は残されていない。
 過去・現在・未来の媒酌人である中根さんが、精力的に著作活動をする理由のひとつは、ここにある。

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