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東海愛知新聞

岡崎・ちせいの里

キーワードは「楽しい」「知り合う」

住民の和で創る新しいふるさと

岡崎市茅原沢町のちせいの里。同市の宅地分譲事業として造成され、平成10年から本格的な入居が始まった。いま98戸、約400人が暮らす。オリジナル大吟醸「ロックエンゼル」の酒づくり、アユ漁、ホタル幼虫の飼育・放流、防災訓練など住民の自主的な地域活動が活発だ。新しいまちの“ふるさとづくり”は、どのように行われているのか―。
■世話係
 先月末、醸造を依頼した同市中町の丸石醸造から「ロックエンゼル」がちせいの里集会所に届いた。500ミリリットルビン300本。2年前の3月、110本からスタートした“わがまちの酒”は、3倍に増えた。180本は住民に渡し、210本は近く、河合学区生涯学習の受講者ら注文した人たちに配る。
 世話係は「ロックエンゼルの会」。近くの山にわき出る酒づくり用の「石清水」を丸石醸造に運び、出来上がった酒を配る。メンバーは4人。当然ながら酒を愛す人たちだ。会社員榊原茂夫さん(61)、“ちせいのソムリエ”と呼ばれる信金職員杉浦俊哉さん(41)、自動車修理販売業の鈴木康夫さん(41)、そして工務店勤務で一級建築士の堀口和哉さん(40)。
 今回からメンバーに加わった堀口さんは「はたから見ていて、酒づくりが楽しそうだったから自分もやりたくなった。次回は酒蔵へ一緒に行きたい」と言う。地域活動は「楽しい」ことが大切だと4人は口をそろえる。エネルギーの源になるからだ。
■リーダー
 入居当時を振り返って杉浦さんが話した。「新築した家のローンはあるが、新生活の夢を抱いてここへ来た。肩を寄せ合い、協力を持続させていくことが大事だった」。これを受けて鈴木さんは「みんなでつくる(創る、作る)ことの楽しさが分かった」。そして、榊原さんが「基礎固めをした後はリーダーの力量が必要なんです」と続けた。  平成13年度から16年度まで総代を務めた松原晄三さん(71)は、リーダーの一人。「ここで知らん者同士が暮らすようになったのも何かの縁。ただ、住宅が一つの地域に集まっており、近隣の地区と違って田も畑も持っていない。生活環境が異なることを意識し、新年会に出たりPTA役員や子供会の役員になったりして、学区内の方々と親しくなろうと意識した」
 住民の3割が40代。松原さんは「こうした若い人たちが中心になって活動してくれるのが心強い」と語った。
■自主組織
 ちせいの里には住民の自主組織・団体が多い。例えば[1]せせらぎ愛好会(平成13年夏創立)=ホタルの幼虫を飼育、4月に蛍流公園奥の「ほたるの里」に放流。これを「もどし式」と呼ぶ[2]おやじバンド(15年春)=ポップス系の5人組。昨年は「もどし式」と11月に生平小学校で演奏[3]鮎の会(15年夏)=男川のアユ網漁解禁時から数回アユを捕る。
 さらに[4]ロックエンゼルの会(15年12月)[5]清流の会(16年2)=60歳以上で組織。酒づくり用や非常時の飲料水となる「石清水」の水源地を管理する。このほか女性の「茅の会」は茶話会を楽しみ、防災訓練は住民の公務員、消防団員、建築業者らが専門分野を生かし、実践的な内容で行う。
 ロックエンゼルの会の“新人”堀口さんは昨年夏、鮎の会にも入っている。「アユつかみを教えてもらった。それまで町内の人の顔を知らなかったが、会に参加すると顔と名前がくっ付く。知り合いになることが、何より楽しいことなんですね」。「楽しい」「知り合う」―これが地域の絆きずなづくりのキーワードのようだ。

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