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東海愛知新聞

デジカメ写真と俳句日記

岡崎の藤井さん(81)が『日々是好日』発刊

岡崎市美合町の藤井清さん(81)が、デジカメで撮った写真と自作の俳句で綴ったデジカメ俳句日記『日々是好日(デジカメと俳句と)』(A5判、52ページ)を発刊。親しい友人などに配った。77歳からパソコン教室に通い、デジタルカメラで撮った写真を自らレイアウトして作成。印刷用紙は、教え子がプレゼントしてくれた。
 藤井さんは、額田町宮崎の生まれ。昭和24(1949)年、愛知第二師範学校を卒業後、額田郡や岡崎市の小中学校に勤務。同60年3月、岡崎市城北中学校長を最後に定年退職。
 退職後も、市の不登校適応施設「ハートピア岡崎」の所長、岡崎市シルバー人材センターの役員を務めた。

 77歳から始めたパソコンと俳句

 平成15年3月、すべての役職から退いたのを機に、岡崎女子短大のオープンカレッジや市情報開発センターでパソコンの基礎を学んだ。
 もともと理科教師であり、研究熱心なこともあって編集など高度な操作も短時日のうちにマスターしてしまった。
 一方、同年5月、NHK俳句講座に入会。こちらもめきめき腕を上げている。
 外出時には、常にデジタルカメラを携行。俳句の題材となる風景、花、樹木、史跡、神社仏閣、伝統行事などをカメラに収めてくる。
 俳句は日記代わり
 藤井さんはパソコンと俳句を始めた15年12月、「日記代わりの記録」として俳句3、4句とデジカメで撮った写真1,2枚を一ページに収めた小冊子『デジカメと俳句と』(A5判、30ページ)を作成。
 昨年は、同体裁ながら掲載句数180句、ページ数も62ページと倍増。冊子の題は、『日々是好日』と付けた。
 今年は年初から、1日1句を目標に俳句作りに励み、6月までに約250句を詠んだ。そのうち104句を選び、俳句2句と写真2枚を1ページに収めて半年間のまとめとした。
 執筆、撮影、編集、製本まですべて1人の手作業。本の天地は、カッターナイフで切りそろえたという。
 1日1句1年をめざして
 「申告書終えて吹きあふ葛湯かな」、「老鶯ろうおうの一声得たる墓参かな」など藤井さんの日常を垣間見る。
 「好きなれや傘寿の痩そう躯く畑を打つ」の藤井さんは、約300平方メートルの畑で作物を育て、健康の源とし句材を得ている。
 「蚕そら豆の莢さやの尻上ぐ薄暑かな」「過不足のなき暮らしかな豆の飯」。ソラマメの生態を見事にとらえた観察眼と、豆ご飯を食べながら平穏無事の日々に感謝する心とが生んだ佳句。
 2月12日のページには、「この国のかたち読み継ぐ菜の花忌」の句と司馬遼太郎『この国のかたち』全六巻を写した写真とが載っている。毎年このころ、この本を読んでいる藤井さんの精神生活の高みを知る。
 藤井さんは「1日1句のノルマはなんとかクリアしているが、句を選ぶことは難しい。ここに載せたものがいい句かどうかも自信はない。作句と選句、これからも道遠しです」と意欲は衰えない。
 師弟の絆半世紀
 この冊子には、師弟間のちょっといい話が隠されていた。
 藤井さんが勤務していた岡崎市根石小学校時代の教え子で印刷業、竹村周三さん(60)=岡崎市蓬莱町=が、先生が本を出すのならとA4判のマットカラー紙1万枚をプレゼント。今年の冊子は、竹村さんにもらった紙を使っているという。
 竹村さんは「小学校5、6年生の担任でした。そのころの教えが私の生き方の基本になっています。物事の本質を考えることを教えてもらいました。俳句は先生にぴったりです」と50年の思いを熱っぽく語った。

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